認知症予防に効果的なこと

頭を働かせる習慣を持つことは認知症予防に良いとされていますが、私の場合、最も良いのは「書くこと」でしょう。
認知症の予防には、適度な刺激とともに、頭を働かせる習慣を持つことが有効です。認知症の発症に関する脳の神経細胞は、年を取るにつれ減りますが、残っている神経細胞の枝葉である神経網を豊富にすることで、認知能力が保たれます。そのためには頭を使うことです。  私の場合、最もよいのは書くことです。まめに手紙を書いたり、日記をつけたりします。特に日記は一日を振り返って記憶をたどることになりますから、よい頭の体操です。頭の中で考えをまとめて考えを表現するという意味では、俳句や短歌、絵を描くなどの趣味もいいと思います。
長谷川先生は認知症の予防に「書くこと」が大切と述べておられますが、毎日の有酸素運動(散歩のことです)も有効とされております。独りぼっちで家の中でだれとも話をしないでいると、認知症になりやすいですので、友達とオシャベリをすることも有効です。人との交わりの機会を多く持ちましょう。
老いることとは?
老いることは生きることであり、生きることは老いること。それは「独自性」があり、「一回性」であり、「現在進行形で終わりがない」ということです。
誰でも年を取り、いずれは死にます。避けることのできない自然の摂理です。年を取ると認知症になりやすくなるのもそうです。何もできない身体になり、なにも考えられなくなったとしても、生きていき、死へと向かってゆくプロセスは進行するのです。行動する(doing)ではなく、存在する(being)が老いの本質だと思います。くよくよしても時間は均しく過ぎてゆきます。大事なのは、今日ある今を生きること、苦しいこともあるでしょうが、認知症が進行していても、生きているうちが花だと思うのです。つらくても朝は必ずきます。  (長谷川和夫著:「認知症でも心は豊かに生きている」中央法規社より)