認知症の早期診断

認知症の早期診断
認知症の早期診断を受けることで、これからのことを自分でも、そして家族とも考えることができます。
「認知症かな」と思っていても、当人は恥ずかしさや不安から病院に行かず、周囲の人も、本人を気遣ったつもりで病院に連れて行くのを先延ばしにする。その結果、認知症の病状を悪化させ、できるはずだった対症療法を受けるタイミングを失って後悔するケースは少なくありません。認知症は恥ずかしいことではないのです。早めに医師に相談しましょう。早期診断を受けるメリットの一つは自分の今後を家族と一緒に考えられる点です。自分に判断する能力があるうちに、医療や介護サービスの利用、財産管理の方法などを、自らの意思で決めておけるのです。
認知症は進行性の病気です。判断ができなくなってからでは、さまざまなことを自分で決めることはできなくなってしまいます。
認知症の診断と注意点
記憶障害、認知機能障害、BPSD、(認知症に伴う妄想や徘徊などの随伴症状)。この3つが確認されると認知症と診断されます。注意すべきことは、意識障害やうつ病と区別することです。
認知症か否かの診断には、記憶障害、認知機能障害、BPSDという3つのポイントがあります。記憶障害には、直前のことを忘れる短期記憶障害、昔のことを忘れる長期記憶障害のほか、体験したこと全体を忘れるエピソード記憶の障害があります。認知機能障害とは、ものごとを正しく理解して適切に実行することが難しくなるものです。BPSDとは、前2つの影響で2次的に起きる症状で、妄想や徘徊などがあります。これらは意識障害やうつ病の症状と混同されがちで、正確な診断が大切です。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の診断には脳血流障害を調べる脳血流SPECTという優れた核医学検査法があります。   (長谷川和夫著:「認知症でも心は豊かに生きている」中央法規より)